ナ・バ・テア (本) 森博嗣 

POINT:★ 好みは分かれそう。
ナ・バ・テア (中公文庫)ナ・バ・テア (中公文庫)
あらすじ:
戦闘機乗りの僕はティーチャのいる新しい基地に赴任した。ティーチャは皆が憧れるエースパイロットで、しかもキルドレではない大人の男だった。
森 博嗣
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スカイ・クロラシリーズの2作目で、クサナギスイトが主人公らしい。とはいってもクサナギはクサナギじゃないかもしれない、と色々森博嗣がやりそげなネタを考えながら読んでみたり。私の周りでは最初のスカイ・クロラより随分評判が悪いのですが結構面白かったと思うけどなぁ、スカイ・クロラほどドライじゃないからだろうか?戦闘シーンとかスカイ・クロラよりよっぽど感情的だった気がするけど。スカイ・クロラに引き続いて世界観はあまり明らかになってはいないのだけど、クサナギがものに執着する過程を描いてる作品なのかな。執着というのとはまた違うんだけれどもなんというか自分以外を視界においても大丈夫なようになっていく過程?妥協って自分で決定するものじゃなくてざらけた壁紙にインクが吸い込むような元通りにしえないもので、それについてもうどうしようもなくなったと気がつくこと的な描かれ方をしていて、多分それが大人なんだろう。そう考えるとティーチャの描かれ方が面白いんだけど、とりあえず表紙のイラストが気に入らない今日この頃。面白いかというと話の途中な感じ。

チューリップ・バブル―人間を狂わせた花の物語 マイク ダッシュ (本) 

POINT:★ 前半部分に。
チューリップ・バブル―人間を狂わせた花の物語 (文春文庫)チューリップ・バブル―人間を狂わせた花の物語 (文春文庫)
あらすじ:
17世紀のオランダでチューリップの値段がありえないレベルで高騰し、あっという間に崩壊した。そのバブルは何故起こったのか。
マイク ダッシュ
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経済では割と有名な事件らしいのだけど、その事件は投機の危うさを声高に叫んでもその詳しい概要は案外知られていない、というテイストの本である。だが案外知られていない、を満足させるほど書かれていなかった事に少し不満。いや、確かにこういうことがあった、的な感じで色々当時の状況が書かれているのですが、現代のバブルと何が違うか(結論的には需要と供給のバランスが崩れたと簡素にそんなにかわらない方向でかかれてる)とかそういう視点があまりなくてちょっと残念。バブルの結果このような法案が通った、とかバブル前後でオランダが変わった、とかそういうのも特になく、もう少し多角的というか第三者的な視点を期待していたのだけれども、どっちかっていうと単にチューリップにまつわる伝記です。ただその前半のチューリップがどのように世界に広まっていったか、という部分は案外面白かったので+。事件としては面白い。

特捜検察の闇 魚住昭 (本) 

POINT:★★★ 検察というよりは個人が面白いかも。
特捜検察の闇 (文春文庫)特捜検察の闇 (文春文庫)
あらすじ:
検察を止めた後、闇の世界から頼られた田中森一と中坊率いる住管と対立した安田好弘の二人の弁護士が東京地検と争うルポ。
魚住 昭
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同じ作者の特捜検察は検察になりたくなってこの闇はなりたくなくなるという評判で入手(何。さてぶっちゃけ非常に面白かった。多分それはよくある検察と弁護士の対立構造ドラマとしてじゃなくて、1人(二人)の人間の描写にかける熱意が並大抵じゃないからだと思う。そこから感じる筆者の検察への親しみと最近の検察へのやるせなさがあふれ出てたりする非常にホットな書籍です。実際のところ一番興味深かったのは中坊公平の住管のくだりで、世間を味方につけるのは戦略上正しいのだけれども、一旦味方につてしまったら実際に何が行われているのかノーチェック過ぎるというのは日本のよくないところだ。画一的なマスコミのせいもあるのだけど、それぞれの立場の正義というのが描かれていてとても面白い。ただ一方的に鵜呑みにするのもまた違う気がして、何が正義かってのはやっぱりそれぞれ各人が持つべきものなのでそういうリサチができるのが最近益々必要になってると思う。来年あたりから裁判員制度とか始まるんだけど一般庶民はあんまり法律とかわからないわけで、そういう意味で色々と怖いなあと思わせる一冊です。多分こういうのも日教組の弊害で国の為にとか公共の為にっていうと気持ち悪がられる風潮を何とかすべきだと思うけど。

日本の弓術 オイゲン・ヘリゲル (本) 

POINT:★★★ ヘリゲル萌え。
日本の弓術 (岩波文庫)日本の弓術 (岩波文庫)
あらすじ:
ヘリゲルは日本に留学して阿波先生の下で妻とともに弓術を5年学ぶ。日本のスピリチュアルな禅精神を学ぶために。
オイゲン・ヘリゲル
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武術の類を言葉で表すのは非常に難しい。呼吸をあわせるとかどうやって日本語にしたものか検討もつかないしましてやドイツ語で説明なんてって感じがするし、そんならとりあえずやってみろから入るのが早い気がする。しかもそれは日本人が根底にもつ無我のカケラを通して言外に知覚するものであって、そもそも全て外壁に覆われたパワーアクションなドイツ人にはとても理解が難しいと思う部類。しかし偉大なヘリゲル君は阿波先生にしたがってそれを会得し、しかもドイツ人っぽい論理性でそれを完結に言語に表現した素晴らしさは逆に日本人にはなしえないことだろう。よく考えると日本人って下手に日本語で考えて解釈しようとするのかもしれない。わけもわからず只管修練するってのは結構大変なもので、そういうのもドイツ人って真面目だよなぁとかそういう部分もなんだか楽しく、そんなわけで非常に面白かった。昔の武術家は武術自体もさることながら人間性として素晴らしい人が多かったのかなあと思う今日この頃です。阿波先生の矍鑠とした感じも非常に萌え。エキサイトの機械翻訳のようなたどたどしい訳文にも萌え。

スカイ・クロラ 森博嗣 (本) 

POINT:★ おしお先生に映像化は無理だと思いました(棒
スカイ・クロラ (中公文庫)スカイ・クロラ (中公文庫)
あらすじ:
僕は新しい基地に移動して、戦闘機にのって飛び立つ。僕の右手が誰かを殺す、いつまでも続くこの繰り返し。そのうち誰かの右手が僕を殺してくれるだろう。
森博嗣
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なんかまた全然関係ない見出しですが、映画を見ようと思って前倒しして読んでみた。多分映像は派手になるのだろうけれども微妙な心情表現無理だろうなあ(棒。という気分でさて小説の方の話。森博嗣だけどミステリ系ではなく、どちらかというと腐女子が好みそうだが結構中二病的な退廃したお話。そもそも設定がよくわからないし説明もないのだけどその辺は空気で。この空気でが許されるあたり大御所なんだろうなあ。実際あんまり空戦な描写はないので実にその世界観を生きる”僕”のお話なんだ。僕はカンナミだけれども基本的に誰でもなく、相変わらずどんどん抽象化されていく過程は面白い。そんでちょこまか突き刺さってる断片を拾っていくと多分本編とはまったく別の本が出来上がるだろう、って仕組み。誰がターゲット層なんだこれは。多分ひよこが先か卵が先かな話でシステムと帰属と意味づけがぐるぐるおいかけっこをしていて、そのうちに全てを失ってしまうだろう。僕は生れたときからここにいるけれども、僕にとってのここは生れたときから始まって、そのあとから理由を付けていく抜け出せない世界をさらに理由で縛り付けてがんじがらめに沈んでいくイメージの中で全部を止めるという足かせを付けることで全てを放棄する過程、か?われながらよくわからない散文な感想をテラテラ書いてるなあとは思うんだけどもなんだか身につまされる話だったりする。(ちょっと投稿時期おかしいですが映画より先に読んでまス。)

十月の旅人 レイ・ブラッドベリ (本) 

POINT:★ 不思議短編。
十月の旅人 (新潮文庫)十月の旅人 (新潮文庫)
あらすじ:
レイ・ブラッドペリの紡ぎ出す不思議な短編集。
レイ ブラッドベリ
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全然関係ないけど短編集のあらすじっていつも悩むんだよね、1個づつかいてもアレだし結局適当にしてしまいました(ぁ。基本的にはSF的発想からの作品群なんだけど、SFっていうわけでもなくて現代物、ホラー(?)、ロマンスがミクスチャされててどれも面白い。1作1作共通する雰囲気はもっているんだけれども作品によって全く別のテイストを紡ぎ出すところに驚愕。多分どれも短い文章の中に登場人物の諦めとか葛藤とかそういう煩悶がキッチリ収まっているからだと思う、ときどきはみ出てるけど。そして最後にちゃんと感情を含めて落とす。やっぱりうまい。そんな中でどれもどこか乾いた雰囲気がする作品だけど、目線がやけに距離とってるからだろうなあ。一番好きなのが永遠と地球。過去の小説家を呼び出して小説を書かせる話だけどすげワクワクする。その次に好きなのはドゥーダッドかな。わからないものをわからないものとして現代人視点で描いてる。こういう無理のないところもとても好き。

おぞましい二人 エドワード・ゴーリー (本) 

POINT:- なんと大人向け。
おぞましい二人おぞましい二人
あらすじ:
イギリスで二人は生れて、いつのまにか出会って、子供を殺した。
エドワード・ゴーリー柴田元幸
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久しぶりに童話(?)のレビューですがまあ子供向きじゃないのだ。こんなに子供向きじゃない話を童話の形式でつくるというのはどう考えてもひねくれた大人向けの書物で、本屋のどのコーナーに置かれてるのかわからないけど子供にみせると人格歪みそうな本ではあるね、いや子供向きじゃないしそもそも。いや、てか童話のタイトルで怖いとか恐ろしいならともかくおぞましいはないだろうみたいな。さて、実話の殺人事件をもとに描かれた本作ですが、なんだかつまらなそうな二人がつまらなそうに子供を殺す話、っていうと御幣があるのだけど、特に二人にとってはつまらなくもなく、そんなにたいしたこともなく、多分トマトが食べたくなったから切って食べようみたいな感覚なんではないかと類推してみるものの、なんだかそんなに違和感がない。孤独感を醸し出してはいるのだけど、主観的に二人は最後まで多分とりたてて不幸でもないんだろう。なんとなくつまんなくてなんとなく暮らした普通の人生。絵本の感想ってのもなんですが、ちょっと毛色がかわったものもたまには。他の人がどうかはわからないが個人的には特におぞましくはなかったし意外と共感できる自分もアレ。

英語が苦手なヒトのためのNASAハンドブック 大崎誠、田中拓 (本) 

POINT:- 迷走してる。
英語が苦手なヒトのためのNASAハンドブック サイトの使い方から宇宙・航空機関連の貴重な画像の探し方まで (サイエンス・アイ新書 63)英語が苦手なヒトのためのNASAハンドブック サイトの使い方から宇宙・航空機関連の貴重な画像の探し方まで (サイエンス・アイ新書 63)
あらすじ:
NASAのHPにはこんなことがかいてあります。
大崎 誠田中 拓也
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なんかこんなにハンドブックっていう感じの本って初めて読んだかもしれない。さて、まあ何が書いてあるかというと飛行機のページはここにありますとかここのページにいけば綺麗な画像が検索できますとか書いてある。ただ内容は結局”何があるか”に終始しているわけで、そんな綺麗な画像を探しにNASAまでいったりするか、っていうと微妙なところだと思うし、仮にマーキュリー計画ってなんだろう、っていってそのページにいっても当然英語なわけで、でこの本には”このページにはマーキュリー計画について書いてあります”くらいの説明しかないんだ。あと検索ボックスに英語の単語を入れれば検索できますとか、どの程度の英語レベルを想定してるのかさっぱりわからなかったり。そういう意味でターゲット層がかなり謎いんだけどもしこの探し方で自由にNASAサイトを回れる人はそもそもガイドブックの必要性を感じないと思う。フルカラーで絵を見るには悪くない本なんだけど。

華栄の丘 宮城谷昌光 (本) 

POINT:★★ 文体が好き。
華栄の丘 (文春文庫)華栄の丘 (文春文庫)
あらすじ:
華元は宋の国の名家であったが祖父の因縁であまり省みられない家の当主だった。その人柄は穏当で市井の人気もあった。そんなある日王姫からの紹介をうけて公子が華元を尋ねてくる。
宮城谷 昌光
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春秋戦国時代は結構好きなんですが、そのなかでも宋というあまり目立たない国の宰相となった人のお話。華元自体それほど史実でも華やかな人ではないのですが、華元の一生を豊かに描いた作品です。確かにあんまり印象のある人ではなかったかも。宮城谷昌光の文章って穏やかな感じなのにノリがあって結構好きなんですが、それ以上に状況説明が上手いと思った。説明っていうと少し御幣があるけれども、状況を読んでても気がつかないうちに普通の文章に普通に織り込めるのってやっぱ上手いと思う。現在進行を感じる部分もうまくて、なんだろうね、主に華元の視点で物事が展開していくんだけど、夏目漱石の夢十夜みたいなかんじで時系列の描き方がちょっと特殊な気がする。それにしても春秋の頃の小説を見るとのどかだなあといつも思うんですが、行間から華元ってのは随分苦労したんだろうなあ、ってのも窺えたりするのです。そしていつもどおり非常に読みやすい。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? フィリップ・K・ディック (本) 

POINT:★★★★ 長い長い一日の物語。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
あらすじ:
戦争後の地球は放射能に汚染され、正常な者は火星への移住を推奨されていた。リックは逃亡アンドロイドを仕留めるバウンティーハンターであり、その日の朝8人のアンドロイドが逃亡したという一報を手に入れる。
著者:フィリップ・K・ディック 訳者:浅倉 久志
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ブレランの原作で有名な(でも中身は全然違う)本作、っていうかSF小説読むのってほぼ初めてに近いんですがすげぇ面白かった。やけに淡々とした文章で繰り広げられるのだけど、世界観が結構緻密に練り上げられていてアンドロイド、電気羊、ガマガエル、マーサーという登場人物(?)に対して少ない言葉で膨大なイメージを付与している。一つ一つ事物から世界観への繋がりを感じさせる作品で、その世界観自体は現在(リアル)と随分違ったものなのだけど、それでも根底的に現在を感じる作品。70年代の作品だが現在に繋がる人間社会をベースにもう一つ別の近未来を描いているわけで、行間にあふれ出る存在感はなんなんだろう?多分今の人間がもっているBASEを同じようにもちながら描いているからじゃないかな、舞台が近未来なのでよりビビッドになってるだけで。例えば普通の小説で蜘蛛が絶滅したとしても、これほど生物に対しての驚嘆を書き表すのは至難の業だろうね、ということで非常に淡々とした文体なんだけど物凄い文章上手いんだわと思う。あと全体を通しての緩急もうまい、普通に読んでたらさらっと流れるようなんだがよく考えてみるとこのストーリーテリング絶妙にうまい。ただまじで淡々としてるので文体が苦手な人はキツイと思う、村上春樹苦手な人とか。なんにしろ最後にフッと振り返った瞬間が最高。

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